at linkage

AT Linkage 代表取締役の福谷 亮氏と VE の石井 司氏

フジテレビ「モシモノふたり」番組制作現場より

導入機材
Quadrus Ingest Machine
GB Labs SPACE SSD
GB Labs SPACE ECHO

テレビ番組制作の現場で、マルチカメラの信号をデジタイズ収録する方法にはさまざまな選択肢がある。ディスクレコーダー 1 つをとっても、内部処理コーデックや処理速度、記録時間、ポストプロダクションへつなげるためのフローの親和性など、プロジェクトに合わせたチェックポイントは多岐にわたる。今回、ロケ現場でのマルチカメラ収録から高効率でスムーズにポストプロ側に手渡すワークフローを構築し、テレビ番組制作現場で運用をしている AT Linkage (エーティーリンケージ) 社から、インジェスト・収録システムについて話を聞いた。

20 時間超えのマルチカメラ番組収録

AT Linkage を主宰する福谷亮氏は、放送業界での知見を活かして 10 年以上前からインターネット放送制作にも携わっており、現在の放送と通信が融合していく過程を現場で体験してきた。同社は、福谷氏を中心に、現場で培ってきたノウハウから、インターネット動画配信や IP 映像伝送、制作プロジェクトに合ったシステム構築の担い手である。さらに、コンテンツ企画演出や運用まで請けられるエキスパート軍団だ。

同社が運用するマルチカメラ対応インジェスト・収録システムは、同社がシステムを担当した今年の伊勢志摩サミットの国際メディアセンターや、日本テレビ系列で放送された「全国高等学校クイズ選手権」の現場でも使われた。

multi cam recording

マルチカメラ収録の現場

現在、フジテレビ系列で放送中のバラエティー番組『モシモノふたり〜タレントが "おためし同居生活" してみました〜』を担当している。

番組はタイトルどおり、芸能人の未婚男女 1 組が 2 泊 3 日の疑似同居生活をするというもの。同居する屋内には、各部屋のポイント個所にカメラを設置。収録は長いケースで、1 日 20 時間以上もカメラを回すこともあり、3 日間のロケ現場で合計 40 - 50 時間になるという。屋内に設置した 12 - 15 台のカメラを切り替えながら、8 台分のソースを同時収録していく。リアリティー番組であるため、リテイクは不可能。よって収録中にインジェストシステムにトラブルがあっては許されない。

「MAI」インジェストシステムを運用

AT Linkage は、限られた運用スペースにおいて単一障害点を極力排除した、冗長構成のシステム構築を図った。マルチカメラの長時間同時収録システムには、Quadrus Technology (クアドラス社) のマルチチャンネル / マルチフォーマット・レコーディングソフトウエア「Ingest Machine」が組み込まれた、阿吽 (あうん) 技研製のインジェストシステム「MAI (マルチチャンネル・オートマチックインジェスター)」を採用。同システムでインジェストとエンコーディング、取り込み先のストレージへの転送をする。カメラとのダイレクトなインタフェースにはマルチチャンネル・ルーティング対応のフレームシンクロナイザーを置き、さらに安全性を高めるため、ストレージシステムも含めた全体の冗長システムとして NewTek 製ライブプロダクションシステム「TriCaster」(8ch 仕様) を単体動作の予備機として運用した。

flow

CX モシモノふたり オンサイトマルチカムインジェストシステム

本システムのフローは、まずフレームシンクロナイザーで HD カメラ信号を受け、アナログオーディオをエンベデッド化し、TC (タイムコード) と合わせて SDI に変換。この信号をインジェスターの MAI が受け、ProRes LT (LT) と DV の 2 コーデックを同時に生成する。

MAI はチャンネルごとに同時に 2 つのコーデック生成が特徴で、リアルタイムでの SD ダウンスケーリングや TC バーンインも可能だ。このため、DV コーデックによるプロキシファイルが収録時に生成でき、収録後のトランスコード作業が省ける。この点が今回の収録で MAI を採用した最大の理由であり、このような長時間収録には相当な時間短縮となる。

フォーマットの選択理由は、LT はクォリティーとファイルサイズのバランスが良く、ポストプロ編集でそのまま扱えるフォーマットであるため、そして DV は、プロキシ用として、どの環境でも再生できるという利点から、番組制作時に要求されることが多いからだという。

共有ストレージに「SPACE SSD」

storage

上 : MAI / 中 : SPACE SSD / 下 : SPACE ECHO

インジェスターから転送されるデータを確保するストレージは、大量の同時編集アクセスを受け入れられる帯域幅と転送速度を持つ、GB Labs 社製の共有ストレージ「SPACE SSD」を選択。SPACE SSD は、ProRes 422 LT 30 (102Mbit) で 280 ストリームを扱え、超高速転送と高いパフォーマンスを維持し続ける映像制作向けに設計された NAS ストレージである。放送運用でのミッションクリティカルな環境において信頼性が高いことも採用した理由の 1 つという。今回のストレージ部位は、SPACE SSD (以下 SSD) をメイン (SSD 11.5TB 仕様) とバックアップ用途に SPACE ECHO (HDD 30TB 仕様) の冗長を組んでおり、バックアップの ECHO は基本的に、収録中は外部からアクセスせずに進めている。1 時間あたり、LT で 50GB、DV で 12GB、それぞれ 8ch 分が 3 日間、そのままストレージに保存されていく。

今回利用している SSD モデルでは収録データがストレージ容量を超えるため、SSD と同じセグメントにいる Mac Pro で納品用の HDD にコピーしていく作業を入れ、ストレージ運用を調整した。各 Mac Pro から SSD にアクセスし、素材データの整理をしながら最終的にファイルコピーソフトウエアを使って、8 台分の HDD にベリファイ & 差分コピーをしている。また、バックアップ用 SPACE (HDD) 側では収録データをオンエアまで保存している。

このようにベースバンドでのインジェストからポストプロへ納品するまで、テープメディアを一切使わない作業フローは、国内のテレビ番組制作ではまだ少数だ。AT Linkage は、本システムの現場への搬入から稼働まで 2 時間以内で完了させるという。また、プロキシも含めた全収録データは納品用 HDD に保存され、ロケ現場の撤収タイミングで納品しているという。このような柔軟性と敏しょう性を両立できたシステム構築は、制作現場において高い満足度を提供している。

フジテレビ「モシモノふたり」番組制作現場より ダウンロード  

Quadrus Ingest Machine、GB Labs SPACE SSD / ECHO を活用した 20 時間超えのマルチカメラ番組収録を実現したインジェストシステムをご紹介します。

 
日付 2016-12-08 ファイルサイズ 458.76 KB ダウンロード 57  

本事例は映像新聞 (平成 28 年 11 月 7 日号) に掲載された記事を元に作成しました。

映像新聞社ホームページ : http://eizoshimbun.com

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