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Timecode Systems 導入事例

タイムコード同期のワイヤレス化で大相撲のマルチカム編集効率が劇的に向上

導入機材
Timecode Systems UltraSync ONE

カメラの機能や性能が向上した現在でも、スポーツ収録やライブ収録など複数のカメラやレコーダーを使う撮影では、タイムコード(以下 TC)の同期は悩ましい問題だ。機動力を重視するカメラに TC 同期用の大きな機材を取り付けるのはナンセンスだし、使い慣れたワークフローに複雑なシステムを導入するのも容易ではない。その上、膨大なコストがかかるとしたら「大変だけど、同期されていないバラバラの収録素材を編集時に人力で何とかタイミングを合わせる…」という厳しい状況の現場がまだまだ多いのではないだろうか。

今回紹介する Timecode Systems の製品は、タイムコードの伝送を RF (Radio Frequency) 通信によってワイヤレス化し、カメラはもちろん、あらゆる収録機器間でのタイムコード同期を簡易化できる小型デバイスだ。導入先の日本相撲協会では場所中の取組や、国技館内の取材をマルチカメラで収録しており、限られた作業時間の中で編集、完パケする必要があるためタイムコードによる同期が生命線となっている。これまで抱えていた課題と導入後の効果について、公益財団法人 日本相撲協会 広報・情報管理室・映像制作 課長 早川克巳氏にお話をうかがった。

大相撲本場所の公式記録映像として収録

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大相撲本場所は、テレビ放送で生中継を行っているほかに、民放や海外の局、プロダクションなどが映像を使用する時のために日本相撲協会が代行取材を行っており、1 年間に開催される六場所(初場所、春場所、夏場所、名古屋場所、秋場所、九州場所)すべての公式記録映像を収録している。

今回取材した両国国技館で運用している ENG カメラは、ソニー PDW-850 が 2 台、HDC-4300 と PDW-700 が 1 台ずつの計 4 台で、取組に関しては基本的にそのうちの 3 台を使用。カメラが稼働し始めるのは十両以上のいわゆる関取と呼ばれている力士たちの取組からで、例外として十両以下でも成績優秀者や初土俵 (デビュー戦) などの場合には撮影を行っている。

早川氏「カメラは土俵に対してセンターの高い位置に 1 台、残りの 2 台は土俵正面側の左右角の位置に構えて挟み込む感じで撮影します。幕内は前半戦と後半戦で分かれていて、前半戦の最中に土俵下のカメラのうち 1 台だけが場内を回って客席を含めた広い画や俯瞰の画を撮影し、後半戦からは必ず 3 台で取組を撮るようにしています。放送局からのリクエストに対応するためにどうしても 3 台では足りない、取組中に力士の支度部屋に取材に行かなくてはならないなど、状況によっては 4 台に増えることもあります」

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編集作業を含めたアーカイブまでが作業範囲となっており、過去の収録データはすべて記録として保守管理されている。膨大な量の収録素材を取り扱うため、撮影から編集、そしてアーカイブまで時代に即した作業効率化が進められてきた。

早川氏「フィルム時代のものはファイル化してサーバーで管理しています。もちろん撮りっぱなしにはできないので、すべて編集して仕上げます。国技館の外の様子やお茶屋さんの様子、力士が入館してくる様子など、後々『こういうシーンの映像がほしい』とリクエストがあったときでも対応できるように用意しておきます」

安心の電波帯域とタイムコードジェネレーター(自走)機能

jirei sumo kyoukai multicam ultra sync one minitrx

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現在運用している Timecode Systems の製品は、RF 通信を使用して 1 台のマスター(親)機から TC を送信し、複数台のレシーブ(子)機が受信して同期するシステムで、最大 200m の伝送が可能。国技館の館内は 2 階建てになっているが、十分に運用することができる。同協会では現在、親機に UltraSync ONE を使用し、子機は :minitrx+* を使用している。

Timecode Systems の RF 通信には「920MHz 帯近距離無線」を使用しており、ほかの電波使用機器との干渉が起きにくく、電波の届く範囲が Wi-Fi に比べても圧倒的に広いのが特徴だ。また遮蔽物などで通信が途絶えた場合にも、高精度な TC 自走機能を持っているため、24 時間で最大 1 フレームしかズレることはない。また、通信範囲内に戻ってきた際には同期が復帰する仕組みとなっているため、安心して運用することができる。建物の構造的に壁や階層の多い国技館では、この正確な TC 自走機能の利便性を大いに実感しているという。

早川氏「常にそれぞれのカメラが見える範囲で移動しているのではなく、一時的に電波が遮断されるような場所に行かざるを得ないので、自走して戻って来た時に再び同期されることには安心を感じています」

撮影時はずっとカメラを担ぎ、立て膝の姿勢で撮っていることが多いので、なるべくカメラ以外の重さを増やさないようにしていたそうだが、製品のコンパクトさはこの制約もクリアした。

早川氏「タイムコードの同期のためにカメラに機材を付けると言われ、最初は戸惑いましたが、このサイズなら問題ないと感じました。もう使い始めて3年以上経ったので、あって当たり前の機材になったという印象です」

マルチカメラでの TC 同期が編集時に威力を発揮

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Timecode Systems の効果が最も発揮されるのは編集作業だ。取組の前に力士が塩を撒き、まわしをポンっと叩くシーンなど、フレームのズレが顕著に出やすいシーンは頻繁に登場する。かつての収録では、カメラ内蔵の TC 機能を使い、各カメラの TC を撮影前に合わせてからマルチカム収録を行っていたが、時間が経つにつれて各カメラの TC にズレが生じていた。そのため、編集時に TC を元に同タイムで各カメラの収録データを並べても、フレームが一致しておらず、編集時にはまずフレームを合わせる作業が発生していた。また、どこかでタイミングを合わせてから編集を進めたとしても、結びの一番になった頃にはフレームのズレ幅が広がっていたりするため、その都度収録素材を確認して、編集するという繰り返しの作業に、相当な時間を取られていたという。

早川氏「これまでは、力士が立ち合う瞬間に焚かれるストロボを目安にタイミングを合わせていましたが、それが大変手間でした。Timecode Systems 製品の導入後は完全に同期されているので、それまでの編集作業とはまるで違いました。我々の環境ほど恩恵を受けているところは無いのではないかと思うくらい楽になりましたね。編集時間は導入前に比べて1時間以上早くなっていて、今やライフライン的な存在になっています」

さまざまな環境でタイムコード同期の恩恵を

Timecode Systems は同協会の収録環境にぴったりとマッチしたが、他にも活躍すべき環境が数多くあるはず。ENG カメラ数台で収録する場合など、特に重宝されるだろうと早川氏は語る。

Timecode Systems は今回紹介した製品の他に、GoPro 専用モデルや Bluetooth 対応の新機種もあり、iPhone や Android のカメラを使った運用など、ハンディカメラを扱うプロシューマー/コンシューマーにも取り入れやすいラインナップが揃えられている。 また、同社の無料アプリケーション BLINK Hub を使用すれば、リモート制御 / 監視も可能だ。その他にも DSLR、GoPro、360°VR 用など、同社のタイムコード同期ソリューションは幅広く展開されている。今後も Timecode Systems のさらなる開発とラインナップの拡大に期待したい。

*:mini trx+ は生産完了となっています。同機能の後継機は、UltraSync ONE になります。

UltraSync ONE について

UltraSync ONE は、高精度タイムコードジェネレータと、マルチチャンネルデジタル受信機を兼ね備えた超小型且つ軽量デバイスです。 全く新しい水準の可搬性、汎用性、ワイヤレス同期のコントロール能力をもたらします。超小型且つ軽量で、OLED ディスプレイを搭載しています。カメラはフィルムカメラや DSLR で使用していても、通常フォーマットあるいは 360°VR で撮影していても、マルチカメラワークフローの中の一部として堅牢な同期ソリューションを提供します。

Timecode Systems について

Timecode Systems 社は、タイムコードに関するハードウェアとソフトウェアのソリューションを開発製造し、マルチカメラ収録、テレビ撮影、360° VR 撮影を行った際の、収録、ログ、検索、同期を簡易化しています。 スタジオで 1 台のカメラで撮影する場合、ロケでマルチカメラを使用する場合、複数台のウェアラブルカメラやミニカメラで撮影する場合、または VR リグに取り付けた GoPro カメラを使用する場合のいずれでも、Timecode Systems 社の製品を一緒に利用可能です。 ビデオとオーディオの同期、メタデータ共有、マルチプラットフォームの無料アプリケーション BLINK Hub 経由の遠隔制御といった密接なワイヤレスワークフローソリューションを制作チームに提供します。

株式会社 アスク メディア&エンタープライズ事業部 (ASK M&E) が提案する、放送・業務用からプロシューマーまでの映像制作にフォーカスした製品を紹介します。

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