imagica

株式会社 IMAGICA

株式会社 IMAGICA (東京都品川区) は、映画・CM・テレビ番組の撮影から編集など幅広く手がける大手ポストプロダクションだ。同社は昨年 8 月、フジテレビ台場スタジオ向けのオフライン用可搬型マルチチャンネルリアルタイムインジェストシステム「モバイルインジェスト」の運用を正式に開始した。このシステムの中核を担う、Rorke Data社 Galaxy® 社の Aurora, HyperDrive™ により、ポストプロダクションにかかるワークフローの効率化を実現し、ポストプロダクション業務の一層の高付加価値化を目指している。

http://www.imagica.co.jp/

導入機材
Rorke Data Galaxy® Aurora, HyperDrive™
Telestream Pipeline™

フジテレビ台場スタジオ向けのオフラインシステムとして運用

この「モバイルインジェスト」の核となる Galaxy® Aurora (以下 Aurora) / HyperDrive™ 導入の経緯について、IMAGICA・テレビ制作部湾岸スタジオグループ インジェストコーディネーターの工藤広行氏は「5 年前にオープンしたフジテレビの湾岸スタジオについては計画段階から関わっていたことで、今まで、ドラマなどに限られていたオフラインのノンリニア化をバラエティ番組に広げることに成功しました。湾岸スタジオでは 21ch の同時インジェストに対応した SAN (ストレージエリアネットワーク) を導入していますが、そのワークフローを台場スタジオでも利用したいというニーズが高まってきました。

我々もそれに応える検討を重ねていましたが、すでにシステムが完成している台場スタジオでは仮設での運用が必要です。湾岸スタジオのシステムはラック 5 本分にも及ぶ大規模なものですが、台場スタジオでは、現実的な運用を考えると 1 人で運搬できるコンパクトさ、さらに、サブとして仮設する都合上、静粛性が絶対的な条件でした」と語る。

湾岸スタジオで導入されていたワークフローについて同氏は「VTR の録画と同時に、1ch あたり PC 1 台で DV 圧縮の QuickTime ファイルにインジェストを行い、SAN に蓄積し、Apple の Final Cut Pro 用のマルチカメラのプロジェクトを作成すると同時に、DV 圧縮の QuickTime ファイルを外付けのハードディスクにコピー、お客様にお渡しするという流れです。オフライン後の EDL を元に HD のリニア編集でオンライン編集を行っています」と述べる。特に、台場スタジオでの新規導入にあたっては 「湾岸スタジオと同じワークフローを台場スタジオでも利用できる、というのが譲れないコンセプトでした」と強調した。

IMAGICA・工藤氏

IMAGICA・工藤氏

Galaxy® Aurora / HyperDrive™ の特徴

特に大きな課題となった小型化についても同氏は「湾岸スタジオオープンの1年後から要望を受けて台場スタジオ向けシステムの検討を始めましたが、PC 1 台で 1ch のインジェストという構成では限界がありました。そんな中、1U サイズで 4ch の同時インジェストが行える Telestream 社の Pipeline™ Quad という製品を紹介されました。バラエティでは 10ch を超える同時インジェストが求められますが、この製品であれば、チャンネル数に関わらず、PC も 1 台で対応できるのが魅力でした。しかし、それに対応するコンパクトなストレージがなく、サービスに繋げられずにいたのです」という。

そんな中で行き着いたのが、Rorke Data 社の Aurora/HyperDrive である。これについて同氏は「SAN でありながら、4U のコンパクトさで、VTR 1 台よりも静か。通常の SAN であれば必要となるメタデータコントローラーというサーバーも別途用意する必要がありませんでした。しかも、通常の SAN では必要になる Metadata Server ソフトウェアにあたる HyperFS MDS ライセンスが今回の構成では無料で付属することも決め手となりました。サイズ、静粛性だけでなく、価格も従来の SAN よりリーズナブルで、まさに私達が望む、唯一のソリューションでした」と語った。

モバイルインジェスト (上から Pipeline Quad ×3、Aurora/Hyper Drive)

モバイルインジェスト (上から Pipeline Quad ×3、Aurora/Hyper Drive)

PDF ファイルダウンロード

ワークフローの効率化を実現

性能の面でも同氏は「DV 圧縮 12ch を同時にインジェストを行いながら、SAN に接続されている別の Mac を利用し、Final Cut Pro でのマルチカメラプロジェクト組み、FireWire 800 を介した最高 5 台への同時コピーを行っても、何の支障もないどころか、大きく余裕があります。特に、Pipeline™ ではインジェスト中に平行してマルチカメラ組みなどの作業を開始でき、収録が終わった直後にデータを渡せる状態になるのが魅力です」という。

ワークフローの効率化を実現

同氏はこのシステムの導入の成果について「実際に、かつてのワークフローでは、スタジオ収録後に 1 日半に及ぶテープからのデジタイズ作業が必要で、オフライン編集まで最短でも2日必要でした。しかし、このシステムを活用した番組では、実際に、収録終了後の撤収中にハードディスクをお渡しすることができ、即日でオフライン編集に入れるようになりました。お客様からも大変喜ばれ、引き合いも急激に増え、すでにレギュラー 3 番組と特番の収録で活躍しています。ポストプロダクション事業の高付加価値化も達成でき、さらなる増備を検討しています」と振り返った。

SAN と NAS の違いについて

SAN (サン、Storage Area Network の略称) は、複数の PC から同時にアクセスできる共有ストレージの一種。一般向けに普及している LAN を介してアクセスする NAS (ナス、 Network Attached Storage の略称) と異なり、データは一般的にファイバーチャネル (以下 FC) という専用のインターフェースを介して接続・転送される。

外付けハードディスクのように PC に直結されるストレージは DAS (ダス、Direct Attached Storage の略称) と呼ばれ、区別されている。SAN の場合は一般的に、各 PC のファイルシステム間の協調制御を行うメタデータコントローラーと言われるサーバー PC が必要となることに加え、SAN にアクセスする PC にそれぞれ FC インターフェースボードを搭載する必要があり、さらに FC スイッチと呼ばれる、電話で言えば交換機にあたる機器が必要となることから、システムの規模や費用の面では NAS の方が有利であると言われる。

SANとNASの違い

一方で、SAN と NAS ではデータの転送方式が異なり、ブロック転送 (Command Descriptor Block) を行う SAN か、IP 転送 (TCP IP) を行う NAS かでは、転送における通信の効率に決定的な差があり、複数の端末からの安定した高速なアクセスにおいては、SAN の方が理論上圧倒的に優位であることから、映像制作系でのハイエンド共有ストレージとしては広く SAN が用いられている。

今回の Aurora/HyperDrive は、SAN でありながらメタデータコントローラーを内蔵しているほか、FC インターフェースを備えることができないノート PC 等からのアクセスも可能な NAS の機能も備えており、SAN としての性能と NAS としての利便性、NAS に迫るコストパフォーマンスが特徴である。

プレスリリースその他のニュースは、発表日現在の情報であり、時間の経過または様々な後発事象によって変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

トレードマーク付きの会社名や製品名は、それぞれの会社の商標です。

資料ダウンロード

製品に関するカタログやテクニカルノートなど、幅広く資料をご用意しております。

まずは資料をダウンロードしてみましょう。

おすすめの導入事例

TriCaster Monster Dive 8

TriCaster® でネット番組・ライブイベントの映像演出をプロデュース

株式会社 MONSTER DIVE

導入機材
NewTek TriCaster® 2 Elite
NewTek TriCaster® Mini Advanced R2
NewTek NC1 Studio I/O モジュール
NewTek 3Play® 3P1
NewTek NDI® PTZ1 Camera

CyberHuman Productionsの「カムロ坂スタジオ」最先端のバーチャル撮影システムで新しい映像演出へ

CyberHuman Productions の「カムロ坂スタジオ」最先端のバーチャル撮影システムで新しい映像演出へ

株式会社 CyberHuman Productions

導入製品
Zero Density Reality
stYpe RedSpy
stYpe FluidHead
AJA KUMO 3232-12G
AJA Ki Pro Ultra 12G
AJA GEN10

導入事例一覧はこちら ▶

アスク・エムイー取り扱いブランド

株式会社 アスク メディア&エンタープライズ事業部 (ASK M&E) が提案する、放送・業務用からプロシューマーまでの映像制作にフォーカスした製品を紹介します。

Copyright © 2025 ASK Corporation. All rights reserved.